東京(首都圏)・奈良(近畿エリア)を中心に全国対応

運営:司法書士法人・行政書士法人LSRコンサルティング

0120-324-575

【受付時間】9時-18時(土日祝は要相談)

不動産オーナーのための「民事信託」

コラム

アパート等の収益不動産を所有している方にとって、「認知症」や「相続」といったリスクは、所有不動産の管理・運用に大きな影響を及ぼします。
とくに賃貸経営や売却、リフォームなどの契約行為は、所有者本人の判断能力が低下すると進められなくなるケースが多く見られます。

こうしたリスクへの有効な備えの一つが「家族信託」です。ここでは、不動産オーナーの方に向けて、家族信託の基礎と活用方法をご紹介します。

認知症と不動産オーナーのリスク

高齢化が進む中、不動産オーナーが認知症になると、次のような契約や取引ができなくなります。

  • 管理会社との管理委託契約、修繕・リフォーム契約
  • 賃貸借契約や更新契約、賃料条件交渉
  • 不動産の売買・担保設定
  • 銀行との融資契約、リフォーム資金の借入
  • 保険契約の更新や資産運用

これらはオーナー自身の生活基盤や資産価値を守るうえで重要な契約行為ですが、認知症の発症により「意思能力がない」と判断されると、一切進められなくなります。

家族信託とは?

家族信託とは、信頼できる家族などに財産の管理・処分を任せる仕組みです。
例えば、不動産オーナーである「父(委託者)」が、息子に「受託者」として財産管理を託すことで、将来本人が判断できなくなっても、受託者が適切に管理・売却・運用を行えるようになります。

オーナー自身は「受益者」として、不動産からの収益や利益を受け続けることができます。
つまり、「財産を守りながら、管理をバトンタッチする仕組み」が家族信託なのです。

家族信託のメリット

認知症対策

判断能力が低下しても、スムーズに財産の管理・売却が可能。

柔軟な契約設計

誰に財産を託すか、どんなルールで管理するかを自由に決められる。

相続対策として活用可能

将来の相続を見据え、承継の仕組みを信託契約内で定めておける。

成年後見制度との比較

成年後見は裁判所の監督下で画一的に管理されますが、家族信託は本人の希望を反映させやすい点が特徴です。

成年後見制度との違い

成年後見制度は「判断能力を失った後」に利用する制度ですが、自由度は低く、裁判所の監督が入るため柔軟な対応は難しい側面があります。

一方、家族信託は「元気なうち」に契約を結び、将来に備える制度です。
対象となる財産や、託す相手、管理方法も自由に設計できるため、オーナーにとって実務上のメリットが大きい仕組みです。

家族信託が適しているケース

  • 不動産を複数所有し、賃貸経営を行っている方
  • 将来の認知症リスクに備えたい方
  • 相続対策として、不動産の承継方法を指定しておきたい方
  • 賃貸経営を家族に徐々に引き継ぎたい方

まとめ

不動産オーナーにとって、民事信託は「資産を守る」だけでなく「スムーズに承継する」ための強力な手段です。

  • 「将来に備えて今から準備しておきたい」
  • 「家族に負担をかけずに不動産を守りたい」

そんな方にこそ、家族信託はおすすめの制度です。